
今月も資金繰りが厳しい…。何とか資金調達したいけれど、銀行は相手にしてくれるかどうかわからないしな。うーん。

諦めるのは早いですよ。銀行融資以外にも資金調達の方法はありますから、一つずつ検討していきましょう。
「資金繰りが厳しい…」「銀行に断られたらどうすれば?」そんな悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。実は、融資以外にも多様な資金調達の方法が存在します。本記事では、それぞれの手段の特徴や活用ポイントをわかりやすく解説。この記事を読むことで、自社の状況に合った資金調達の選択肢が見えてきます。
- 資金調達の基本的な仕組み(デットファイナンスとエクイティファイナンスの違い)
- 銀行融資・日本政策金融公庫・補助金など主要な資金調達方法7選の特徴と使い分け方
- ファクタリングやクラウドファンディングなど多様な資金調達手段のメリット・デメリット
- 資金調達を成功させるための5つの実践的ポイント(計画・書類・専門家活用など)
- 創業直後でも使える資金調達制度や支援策の紹介
資金調達には大きく分けて2つの方法がある

資金調達にも種類があります。まずは、大きく2つに分けて説明しますね
デットファイナンス(負債型)とは
デットファイナンス(負債型)とは、借入や債券発行などによって資金を調達する方法で、返済義務があるのが特徴です。代表的な手段には、銀行融資や日本政策金融公庫の融資、ビジネスローンなどがあります。借入元との契約に基づいて一定期間内に元本と利息を返済する必要がありますが、経営権の希薄化を避けられるメリットがあります。一方で、返済負担が経営を圧迫するリスクもあるため、事業計画に基づいた無理のない借入が重要です。
エクイティファイナンス(資本型)とは
エクイティファイナンス(資本型)とは、株式を発行して出資を受けることで資金を調達する方法です。出資者は企業のオーナーの一部となり、返済義務は発生しません。そのため、事業の初期段階や赤字の状況でも活用できる点が魅力です。主な手段には、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資、クラウドファンディング(投資型)などがあります。ただし、株式を渡すことで経営権が分散し、意思決定に影響が出る可能性がある点には注意が必要です。

なるほど。つまり、資金調達には、返済が必要となるものと、返済が必要ないものの2種類あるということなんだね。
中小企業が活用できる資金調達の7つの方法
1. 銀行融資(信用保証協会付き融資)
銀行融資の中でも「信用保証協会付き融資」は、中小企業にとって利用しやすい代表的な資金調達手段です。借入時に信用保証協会が保証人となることで、金融機関は貸し倒れリスクを軽減でき、企業側も融資を受けやすくなります。特に、創業期や実績の少ない企業でも一定の審査基準を満たせば利用可能です。低金利かつ返済期間も比較的柔軟なのがメリットですが、保証料の負担や審査に時間がかかる点には注意が必要です。計画的な申請が成功の鍵となります。

金利負担や、返済条件などはメリットだな。だけれど、審査に時間がかかる点は、早期に資金が必要な場合には、デメリットになりそうだ。

事業計画書と直近の財務書類を揃えれば、スムーズに審査を進めることができます。余裕をもって準備しましょう。
2. 日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫(JFC)は、政府が全額出資する政策金融機関で、中小企業や小規模事業者の資金調達を支援しています。特に「新創業融資制度」などは、創業初期の企業でも利用しやすく、無担保・無保証人での融資が可能です 。主なメリットとして、民間金融機関よりも低金利で、返済期間も長めに設定されている点が挙げられます。また、審査基準が比較的柔軟で、創業間もない企業でも融資を受けやすい傾向にあります 。日本政策金融公庫の融資制度は、創業期や資金繰りに課題を抱える中小企業にとって、有力な資金調達手段の一つです。

日本政策金融公庫の融資って、中小企業や創業直後でも使えるの?

はい、無担保・無保証で利用できる創業融資制度があり、資金調達の強い味方になります。この場合も事業計画書は必須となりますので、事前に準備しておきましょう。
3.補助金・助成金の活用
補助金・助成金は、返済不要の資金として中小企業にとって大変魅力的な支援制度です。経済産業省や地方自治体が実施する制度が多く、設備投資、IT導入、人材育成などさまざまな用途に対応しています。代表的なものに「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」があり、事業の成長や効率化を後押しします。ただし、申請には明確な事業計画と成果目標が求められ、採択には一定の競争があります。専門家のサポートを活用することで、採択率の向上が期待できます。

補助金や助成金って、中小企業でも資金調達に活用できるの?

はい、返済不要で活用できる制度が多く、申請すれば事業の初期投資や運転資金に大きく役立ちます。毎年度、色々な補助金・助成金がありますので、常にアンテナを張っておくことが重要です。
4.ファクタリング(売掛金の早期資金化)
ファクタリングとは、売掛金を専門業者に売却し、支払期日前に現金化する資金調達方法です。銀行融資と異なり、借入ではないため返済義務がなく、短期間で資金を確保できるのが大きな特徴です。急な資金繰りの悪化や、新規取引に伴うキャッシュフローのズレを補う際に有効です。一方で、手数料が高めに設定されることが多く、継続的な利用にはコスト面での注意が必要です。取引先に通知しない「2社間ファクタリング」などもあり、ニーズに応じた活用が可能です。

ファクタリングって、中小企業の資金調達にどう役立つの?

売掛金を早期現金化できるので、借入なしで資金繰りを改善できる手段として注目されています。銀行借入は融資の実行までに時間がかかるのに対して、ファクタリングは、早期に資金を手に入れることができる点が最大のメリットです。
5.クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の支援者から資金を集める仕組みで、近年中小企業やスタートアップでも活用が広がっています。リターン型や投資型、寄付型などがあり、資金調達と同時に自社の製品やサービスのPRにもなるのが大きな魅力です。特に新商品や地域密着型プロジェクトと相性が良く、共感を得ることで目標以上の資金が集まるケースもあります。ただし、企画力や発信力が求められ、成功には綿密な準備と戦略が不可欠です。

クラウドファンディングは実際に出資したことがあるよ。けれど、中小企業の資金調達にも使えるの?

はい。新商品やサービスへの共感を得て資金を集められる、借入不要の調達方法として注目されています。新商品の開発やプロジェクトを興す場合には、検討してもよいでしょう。
6.ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資は、将来の成長が見込まれる企業にとって有力な資金調達手段です。これらの投資家は、将来的な株式売却益を目的に、経営参画を前提として資金を提供します。返済義務がないため、資金繰りに余裕が生まれ、成長戦略に集中できるのが大きなメリットです。ただし、経営方針への意見や株式の持ち分を譲渡する必要があるため、企業としてのビジョンや信頼関係の構築が非常に重要になります。

最近、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家って言葉をよく聞くけど、中小企業でも関係あるの?融資じゃなくて出資ってことは、返済しなくていいんだよね?

そうですね。特に成長性のあるビジネスモデルを持つ企業なら、出資という形で資金調達を受けるチャンスがあります。その代わり、経営への関与や株式の一部を譲渡する必要がありますが、大きな成長資金を得られるのが魅力です。
7.社債の発行(私募債含む)
社債の発行は、企業が債券を発行して投資家から資金を調達する方法で、特に中堅企業や信用力のある中小企業が活用しています。中でも「私募債」は、特定の投資家を対象に発行され、比較的柔軟な条件で資金を得られるのが特徴です。銀行借入とは異なり、資金使途や返済条件を自由に設定できるメリットがありますが、信用格付けや一定の財務健全性が求められるため、事前準備が重要です。発行コストも考慮しつつ、資金戦略の一つとして検討するとよいでしょう。

社債の発行って、うちみたいな中小企業でもできるの?大企業の話かと思ってたけど…。

実は中小企業でも、一定の信用力があれば「私募債」として社債を発行することが可能なんです。
資金調達を成功させるための5つのポイント
1. 自社の資金ニーズを明確にする
資金調達を成功させるためには、まず自社の資金ニーズを具体的に把握することが不可欠です。必要な金額、調達のタイミング、資金の使い道を明確にすることで、最適な資金調達手段を選ぶ判断基準ができます。たとえば、短期的な運転資金と長期的な設備投資では、求められる資金の性質が異なります。また、資金の目的が明確であれば、金融機関や出資者に対しても説得力ある説明が可能となり、審査や出資判断を有利に進めることができます。
2. 複数の資金調達手段を組み合わせる
資金調達では、ひとつの方法に依存せず、複数の手段を組み合わせることが成功の鍵となります。たとえば、銀行融資と補助金、クラウドファンディングとベンチャー投資などを併用することで、資金調達の安定性と柔軟性が高まります。目的やリスクに応じて資金源を分散させることで、急な資金需要や情勢の変化にも対応しやすくなります。また、それぞれの資金調達方法には特徴や制約があるため、補完し合える形で戦略的に活用することが望ましいと言えるでしょう。
3. 資金使途と返済計画を明示する
資金調達を円滑に進めるためには、資金の使い道と返済計画を明確に示すことが重要です。資金使途が具体的であればあるほど、金融機関や出資者はその必要性や実現可能性を判断しやすくなり、信頼を得る材料となります。また、いつまでに・どのように返済するかといった計画があることで、資金繰りの見通しや事業の健全性が伝わります。漠然とした資金調達ではなく、根拠のある計画を立て、説得力のある資料や事業計画書を準備することが成功のポイントです。
4. 財務書類を整備しておく
資金調達を検討する際には、財務書類の整備が欠かせません。特に融資や出資を受ける場合、貸借対照表・損益計算書・資金繰り表などを通じて、企業の経営状況や将来性が判断されます。数字に矛盾があったり、提出が遅れたりすると、信用を損ない審査に不利になることもあります。常に最新かつ正確な書類を用意しておくことで、スムーズな対応が可能になり、金融機関や投資家からの信頼を高めることにつながります。日頃からの管理が成功の土台となります。
5. 信頼できる専門家のサポートを受ける(税理士・中小企業診断士など)
資金調達を確実に進めるためには、税理士や中小企業診断士といった信頼できる専門家のサポートを受けることが大きな助けになります。専門家は、財務状況の分析や事業計画の作成、補助金・助成金の申請支援、金融機関との交渉などをサポートしてくれます。また、最新の制度や活用可能な支援策の情報にも精通しており、自社に最適な選択肢を提案してくれる点も心強いポイントです。資金調達の成功率を高めるためにも、早い段階から相談しておくのが賢明です。

やはり早めの対策が大事ということだね。

ええ。専門家の支援を受けながら進めるとよいですね。
資金調達に関するよくある質問(FAQ)
融資と補助金は併用できる?
- Q融資と補助金は併用できますか?
- A
はい、融資と補助金は併用可能です。
補助金は返済不要な公的支援金で、融資は返済義務のある借入金ですが、両者を組み合わせることで、資金調達の幅を広げることができます。たとえば、補助金で設備費の一部をまかない、不足分を融資で補うという形が一般的です。ただし、補助金は事前申請や審査が必要で、交付決定前の支出は対象外になるため、計画的な手続きが重要です。
赤字でも融資は受けられる?
- Q赤字でも融資は受けられますか?
- A
状況によっては赤字でも融資を受けられます。
赤字だからといって必ずしも融資が否認されるわけではありません。金融機関は過去の業績だけでなく、今後の収益見込みや事業計画、資金使途の妥当性なども総合的に判断します。特に、改善に向けた具体的な計画や将来の売上見込みが明確であれば、赤字企業でも融資が認められるケースはあります。信頼性のある資料を整えて、根拠ある説明を行うことが重要です。
ファクタリングと借入の違いは?
- Qファクタリングと借入の違いは何ですか?
- A
ファクタリングは売掛金の現金化、借入は資金を借りる行為です。
ファクタリングは、将来入金予定の売掛金をファクタリング会社に売却し、早期に現金を得る方法です。返済義務がなく、貸借対照表にも負債として計上されないため、資金繰りを悪化させにくいのが特徴です。一方、借入は金融機関などから資金を借り、元本と利息を返済する必要があります。どちらを選ぶかは、資金の緊急性や返済能力、信用状況によって異なります。
どの方法が一番早く調達できる?
- Qどの資金調達方法が一番早く資金を得られますか?
- A
ファクタリングやビジネスローンが比較的早く調達できます。
資金を急いで調達したい場合、審査が比較的早く、即日〜数日で入金される可能性がある「ファクタリング」や「ノンバンク系ビジネスローン」が有効です。特にファクタリングは、売掛金があれば信用情報に関係なく利用できる点もメリットです。一方、銀行融資や補助金は審査・書類提出に時間がかかるため、時間的な余裕がある場合に適しています。緊急性に応じて、最適な手段を選びましょう。
創業直後でも使える制度はある?
- Q創業直後でも利用できる資金調達制度はありますか?
- A
はい、創業直後でも利用可能な制度が複数あります。
日本政策金融公庫は、創業間もない事業者向けに「新規開業資金」や「スタートアップ支援資金」といった融資制度を提供しています。これらの制度は、原則として無担保・無保証人で利用でき、利率の引き下げや長期返済が可能です。例えば、設備資金は20年以内、運転資金は10年以内の返済期間が設定されています 。また、地方自治体や信用保証協会が連携する制度融資もあり、創業初期の資金調達を支援しています 。これらの制度を活用することで、創業直後の資金ニーズに対応することが可能です。
まとめ
中小企業にとって資金調達は、事業の成長や安定経営を実現するための生命線です。本記事では、デットファイナンス・エクイティファイナンスの違いから、銀行融資、補助金、クラウドファンディング、ベンチャーキャピタルなど、主要な資金調達手段の特徴やメリット・デメリットを整理しました。また、成功に向けた5つのポイントや、創業直後でも使える制度、よくある質問への回答も網羅しています。自社に最適な方法を選ぶヒントとして、ぜひ資金戦略にお役立てください。